地域密着型 - 通学車商戦では機種を絞り込んで訴求 「当り前」を実行、消費者を裏切らない店 手渡しDMで通学車の販促、卒業後も顧客として定着

  • 地域密着型
  • 都市部とその近郊では少なくなりつつある、「季節」が感じられるショップ。商戦ごとの仕掛けを当り前のように行い、当り前のように集客する。奇をてらわずオーソドックスなスタイル、しかし消費者を裏切らない店舗である。春の商戦にはそれが如実に表れる。3月中旬過ぎ、近隣にある公立高校の入学説明会の日に、正門で「合格おめでとう」のメッセージと一緒に通学自転車のカタログを合格者に手渡して、I店の春需は本番を迎える。この“仕掛け”で通学車を例年100台販売する。春先には中心となる車種を決め、早めに手当てするが、ニーズから大きく外れることはない。春に購入してもらい、アフター面もしっかりフォローする。そして次の春で顧客が3分の1入れ替わり、3年で一回りする。しかしその後もリピーターとして定着するファンが多いのもこのショップの強みの1つだ。「立地に恵まれているわけではないので、ウチじゃなければダメ、という顧客をどれだけ増やせるか」と、とくに気負うこともなくオーナーは言う。しかし、製品はすべて自店で組立てて渡すことを、顧客はきちんと理解している。それが地域になくてはならない販売店たる由縁でもある。創業して34年、その間に蓄積された顧客データは1万人に達した。(大阪・I店)
 
 

テナント出店型 - 顧客のニーズは結構レベルが高い 商圏特性と顧客ニーズ反映した売場 買いたい時が“旬”、在庫管理に細心の気配り

  • テナント出店型
  • ウォーターフロントにある複合商業施設に入居しての展開。20‐30代の若い世代が居住する立地、そして施設内に3棟あるオフィスビルにはIT関連企業などに従事するサラリーマン、OLが約2万人という商環境である。だから平日でも昼休みと夕方以降(午後9時まで営業)は顧客が引きも切らない。それだけにターゲットは「団塊ジュニアといわれる30‐40代」(店長談)と明快だ。マーチャンダイジング(MD=品揃え)の核はクロスバイクとロードモデル。売場は前面がすべてウインドーという設計。外から店舗の雰囲気がわかりやすいし、季節ごとに購買動機を促す「自転車通勤をしてみませんか」といったPOPなどで、ちょっと覘いてみたくなるような集客効果を狙う。そしてほぼ40坪のスペースに常時180‐200台の完成車を展示している。ボリュームゾーンはクロスバイクなら6万円前後の商品。「その価格帯で顧客の望むものが選べるように心がけている。購入価格はオプションも含めて7万円くらい」。さらにロードモデルはエントリー向けの10万円クラス、中級クラス向けの15万円クラスと20万円以上のクラス分けでニーズに対応している。 品揃えについては在庫を切らさないように細心の注意を払う。「買いたい車両が無ければ顧客を逃がしてしまうし、取り寄せは商品の鮮度を落とすことになりますから」。売上の比率は完成車が60%、パーツ&アクセサリーが40%という比率だが、ショップとしては、今以上にP&Aのウエイトを高めたい意向である。(東京・S店)
 
 

高感度型 - 広いスペースで商品をじっくり見れる展示 贅沢なスペースで高級感をアピール 乗る楽しさと生活シーン想定した提案で成功

  • 高感度型
  • 自動車ディーラーが入居していた店舗を、ほぼ居抜きに近い形で借受けて2000年から営業している。売場面積が100坪。約80台のスポーツ車が余裕をもって展示されている様は、店舗というよりむしろショールームの趣である。当初は一般車も扱っていたのだが、「同じ商品なら他の店のものよりも絶対高く見せられる。それなら高級車を販売したほうが売れるはず」(店長)ということで、スポーツバイクに特化した経緯がある。狙いは的中。現在は5-10万円のクロスバイクや10-20万円のロードモデルを厚めに揃える。本格モデルは無理でもエントリーモデルとしては十分な機能を持つレベルの商品に人気が集まる。だから店内では常に横から車両全体が見えるように陳列を工夫しているし、通路もゆったり確保して、従来のサイクルショップのイメージから突き抜けているのが特徴でもある。店舗前面がすべてウインドー、外に向けての訴求効果も絶大だ。顧客は30代から40代が目立つ。ここへきて女性のファンも急速に増えてきた。女性スタッフと相談しながらレディースモデルの拡充も図っている。また顧客囲いこみの一環として誰でも参加できるイベント(走行会)を行っている。売上の40%がパーツ&アクセサリーで占められる。ウエアコーナーには試着室も完備しており、自分の自転車スタイルをイメージしながら商品を選択できる楽しさがある。ショップでは「パーツ類も今は必要最低限の品揃え。“いじるのが好き”な人には物足りないかもしれないが、“乗るのが好き”な人が来てくれている」と語ってくれた。(神奈川・S店)
 
 

ロードサイド型 - 中央道路に沿って幼児・子供車が整然と並ぶ 幼児・子供車を軸にファミリー層を集客 「安くて良いもの」より1ランク上の商品を提案

  • ロードサイド型
  • 車立地ということで商圏は半径10kmの想定。240坪の売場に常時500台を展示するが、全体の半分を占めるキッズ・ジュニア車を入口正面の“一等地”に据えて、ファミリーを中心にした集客を図り、顧客拡大を仕掛ける。ジュニアMTBまでを含めて幼児&子供車が250台を展示。関西の商圏はどちらかというと低価格ゾーンの商材に需要が集中するケースが多い。だからMD(品揃え)に際しても価格のみを訴求するのでなく、あくまでも「安くて良いもの」を提案できるアイテムをベースにして、そのワンランク上の商品をどれだけ揃えられるかが集客、販売のポイントともなる。S店最大の“強み”は幼児・子供車カテゴリーのスケールとバリエーションの広さ、さらにこなれた価格提案である。加えて、子供自転車なら商品を12インチから2インチごとのサイズで分類展示、かつ適応年齢も見やすく表記して子供の“ポケット”である両親だけでなく祖父母にも判りやすい売場づくりを心がけている。オリジナル車が多いのもこのショップの特徴だ。幼児・子供と軽快車のカテゴリーでは、店舗オリジナルの構成比はほぼ50%に達しているという。価格戦略面でも衝動買いを誘発できるようなリーズナブルな設定である。オリジナルやプライベートブランド(PB)は、メーカー車と比べて利幅も大きいだけに、売上シェア拡大にも必然的に力が入る。需要の多い電動自転車は常時20台を陳列、ライトスポーツ系の車種も価格帯を絞り込んで、じっくりセレクトできる品揃えとなっている。(奈良・S店)
 
 

カテゴリー特化型 - 周辺グッズは雑貨感覚でコーナー展開 女性専門店はおしゃれグッズも充実 20-30代へ上質な町乗り自転車とシーン提案

  • カテゴリー特化型
  • ウォーターフロントにある複合商業施設に入居しての展開。20‐30代の若い世代が居住する立地、そして施設内に3棟あるオフィスビルにはIT関連企業などに従事するサラリーマン、OLが約2万人という商環境である。だから平日でも昼休みと夕方以降(午後9時まで営業)は顧客が引きも切らない。それだけにターゲットは「団塊ジュニアといわれる30‐40代」(店長談)と明快だ。マーチャンダイジング(MD=品揃え)の核はクロスバイクとロードモデル。売場は前面がすべてウインドーという設計。外から店舗の雰囲気がわかりやすいし、季節ごとに購買動機を促す「自転車通勤をしてみませんか」といったPOPなどで、ちょっと覘いてみたくなるような集客効果を狙う。そしてほぼ40坪のスペースに常時180‐200台の完成車を展示している。ボリュームゾーンはクロスバイクなら6万円前後の商品。「その価格帯で顧客の望むものが選べるように心がけている。購入価格はオプションも含めて7万円くらい」。さらにロードモデルはエントリー向けの10万円クラス、中級クラス向けの15万円クラスと20万円以上のクラス分けでニーズに対応している。 品揃えについては在庫を切らさないように細心の注意を払う。「買いたい車両が無ければ顧客を逃がしてしまうし、取り寄せは商品の鮮度を落とすことになりますから」。売上の比率は完成車が60%、パーツ&アクセサリーが40%という比率だが、ショップとしては、今以上にP&Aのウエイトを高めたい意向である。(東京・S店)
 
 

店売+Web販売型 - クロスバイクなどライトスポーツ系も厚めに揃える 「生活彩る」上質な自転車がMDの核に ネットでの集客は誠実な対応とメールマガジン

  • 店売+Web販売型
  • 都心部に立地するため地域密着型のスタイルが難しく、自ずとコンセプトを明確にした売場づくりが求められる。さらに、近くにある大型ディスカウンターが自転車を常に廉価販売していることもあり、差別化提案も必要になる。H店が訴求しているのは『自転車で生活の彩りを』というメッセージ。ボリュームゾーンを4-5万円に設定して、上質で満足度の高い商品を並べている。常時120台の展示だが、ショップでは「付加価値が高く、自信を持ってお客様に勧められるものを揃えるようにしている」と言う。スポーツからトレンディアイテムまで、価値ある商品を選んでもらうためのMDが徹底しているのが伝力な“仕掛け”がある。集客と販売両面にわたって大きく貢献しているネット通販だ。これも販売方法こそ変われ、リアルショップと何らスタンスは変わらない。商品の引渡しに際しては、顧客の身長や体重を確認して調整・点検しているのも、H店では何ら特別のことではない。Web上に販路が広がったとはいえ、顧客は待っていて集まるわけではない。アクセスを増やし購買動機を促すために、現在ほぼ週1回のペースでメールマガジンを配信している。こうした顧客開拓のための努力で、通販部門の業績が実店舗を上回るほどに成長してきている。1年半前からスウェーデンの「KRONAN」(クローナン)の正規輸入代理店となって、個性的な自転車の販売も開始した。MDで差別化を図るだけでなく、不毛な価格競争を避けるためにも独自のブランド展開は積極的に行っていく方針だ。(東京・H店)